Creative Anglerは本格派フライフィッシングツールを提供するブランドです。ここでは、製品に同梱されている取扱説明書(日本語訳)を掲載します。
おめでとうございます!
あなたは新しいフライタイイングツールキットを手に入れました!
この冊子では、基本的なツールの使い方だけでなく、いくつかの基本的なフライ(毛鉤)の作り方も学ぶことができます。
もしツールの使用方法や、より多くのフライパターンについて詳しく知りたい場合は、インターネットで検索するか、フライショップや地域の図書館で入手できる多くの本をチェックしてみてください。どちらも情報源として非常に有用です。
楽しんでください!
序文・図解・説明
フランク・プレケル(Frank Prekel)
フライタイイングの技術は、フライフィッシングの楽しみを自然に発展させたものです。
釣り歴が短い人でも、長年のベテランアングラーでも、やがては自分自身のフライを作りたくなるでしょう。釣りにおいて、魚を釣る以外でこれほど楽しみを広げてくれる活動は他にありません。
標準的なパターンを作るにしても、自分の創造力を活かして新しいパターンに挑戦するにしても、フライを作ることは釣りそのものと同じくらい楽しいものです。
この冊子の目的は、あなたを正しい方向に導くことです。ここでは、いくつかのツールの使い方と、基本的なパターンの結び方を学びます。私は特に、ここで学んだツールの使い方を繰り返し練習し、慣れていくことを強くおすすめします。
世の中にはフライのパターンを紹介する本や動画が数多くあります。ぜひそれらを活用してください。地元のフライショップでクラスや店内デモが行われているかも確認してみましょう。基本を身につければ、より高度で繊細なパターン作りに進むことができ、あなたのフライ作りのスキルは確実に向上します。
新しい冒険の成功をお祈りします。
ツール一覧
バイス(Vise)
バイスの役割は、フックを固定することです。
フックをバイスの顎部分に差し込みます。シャンク(軸)が水平になるように置き、フックの先端が少し出る位置で固定します。ただし、バーブ(返し)が隠れないよう注意してください。
カムレバーを下げてフックをしっかり固定します。フックが緩い場合は、カムレバーを外し、顎の前にある調整スリーブを回して締め付けを調整します。
ボビン(Bobbin)
ボビンには3つの主な役割があります。
- スレッド(糸)を保持する
- スレッドを巻き付ける
- 糸にテンション(張力)をかける重りとして機能する(フックから吊り下げた状態で保持)
スレッダー(Threader)
このツールは、糸をボビンのチューブに通すのを容易にします。
- まずボビンにスレッドのスプールを取り付け、約15cm(6インチ)の糸を引き出します。
- スレッダーのワイヤー端をボビンチューブの先端から挿入し、チューブの反対側からワイヤーの輪が見えるまで押し込みます。
- 糸の先端を輪に通し、スレッダーを引き戻します。
- 糸がボビンチューブを通ったら準備完了です。
糸のテンションは、スプールが自重で糸を引き出さない程度に設定します。強すぎる場合は、ボビンアームを軽く広げてテンションを弱めます。

ボドキン・ハーフヒッチングツール(Bodkin, Half-Hitching Tool)
このツールは2つの機能があります。
- 針状の先端は、ダビング(毛羽素材)のほぐしや接着剤の塗布に使用
- もう一方の端はハーフヒッチ(半結び)用
使用手順
- 糸をフックのシャンク(軸)から伸ばし、ハーフヒッチツールの端に沿わせて糸を2回巻き付けます。
- ツールの先端を親指と人差し指で持ち、フックアイ(針の穴)に近づけ、ツールの先端の穴にフックアイを通します。
- ツールを傾け、糸の輪をフックの上に滑らせます。輪が掛かったらツールを外し、糸を軽く引いてハーフヒッチを締めます。
ハサミ(Scissors)
ハサミは糸や柔らかい素材を切るために使います。
鉛やワイヤーなどの硬い素材を切る場合は、専用のはさみや爪切りなど、刃を傷めない道具を使用してください。
ハックルプライヤー(Hackle Pliers)
ハックルプライヤーは、ハックル(羽根)を保持し、巻き付けるための道具です。
また、細かい素材をつかむのにも役立ちます。
ダビングツール(Dubbing Tool)
ダビングツールは、フライのボディを作るために使用します。
- ボディを作る位置まで糸を巻き進め、糸に輪を作ります。
- フックシャンクに輪を掛け、ダビングツールに引っ掛けます。
- 輪の中にダビング素材を少量ずつ置きます。
- 完成したら、ツールをゆっくり回転またはスピンさせ、2本の糸の間にダビング素材を挟み込みます。
- 糸をシャンクに沿って巻き付け、ボディを形成します。
図解
ハーフヒッチングツールの手順(Step 1〜3)
ダビングツールの手順(Step 1〜4)

タイイングを始める前に(STARTING TO TIE)
フライを巻き始める前に、この冊子の内容をすべて読んでおくことをおすすめします。
作業台にバイスをセットし、自分の正面にくるように配置します。
フックを顎にセットし、固定します(返し部分が見えるように)。
右手にボビンを持ち、左手で糸の端を持ちます。
糸をフックシャンクの後端に当て、元の巻き方向へ4回ほど下巻きします。
これで糸がしっかり固定されます。巻き幅は返しの上部あたりから始め、元の巻き始め位置まで戻します。
糸をフックに取り付けた後
糸を取り付けたら、最初の練習としてハーフヒッチを1回行います。
その後、再び糸を巻き付けます。
最初のパターン:サン・フアンワーム(San Juan Worm)
最初に直面する課題は、糸がフックの反対側にずれてしまうことです。
この問題を防ぐには、素材をフックの上にしっかり固定し、糸を巻く方向を一定に保ちます。
糸とフックシャンクの間隔
・ボビン先端とフックシャンクの間隔が広いほど、糸の巻きが緩くなります。
・間隔を小さく保つと、素材の固定が安定し、糸のテンションが維持されます。
・目安として、ボビンとフックの間に2〜3回転分の糸の余裕を持たせます。
注意点
・フックのポイント(針先)近くでは角度を意識し、糸が引っ掛からないようにする
・素材を巻く際は、自分側から遠ざける方向に巻くとテンションが一定になりやすい
図解(Step 1〜6)
Step 1:糸をフックシャンク後端に当てる
Step 2:4回ほど巻いて固定
Step 3:巻き幅を元に戻す
Step 4:素材をフックに載せる
Step 5:糸で素材を固定する
Step 6:テンションを保ちながら巻き進める

フック(Hooks)
フライタイイングでは主にドライフライフックやニンフフックを使用します。
これらはさまざまなメーカーから製造されており、それぞれに標準サイズの仕様があります。
フックのパッケージに記載されている情報を見ると、「X」コードが記載されている場合があります。
この「X」は、標準サイズに対してワイヤーの太さや長さがどれだけ異なるかを表します。
例
- 2X Strong:標準より太いワイヤー
- 1X Fine:標準より細いワイヤー
- 3X Long:標準より3サイズ長いシャンク
- 4X Short:標準より4サイズ短いシャンク
通常は標準サイズのフックを使用しますが、パターンや魚種により指定がある場合は、その指示に従います。
フックの各部名称(HOOK PARTS)
- EYE(アイ):ラインを通す穴
2. GAP(ギャップ):針先とシャンクの間隔
3. SHANK(シャンク):フックの軸部分
4. BEND(ベンド):カーブしている部分
5. BARB(バーブ):返し
6. POINT(ポイント):針先

フライの種類
ストリーマー/ウェットフライ(Streamer/Wet Fly)
水面下で使うフライ。魚を模した動きで誘う。
ドライフライ(Dry Fly)
水面に浮かせて使うフライ。羽やハックルで浮力を確保。
ニンフ(Nymph)
水中で流下する水生昆虫を模したフライ。リブ、脚、ウィングケースなどでリアルに表現。

サン・フアンワーム(SAN JUAN WORM)
フック:ニンフ #14(2X ストロング)、1X ロング
スレッド:使用するチェニールの色に合わせる
ボディ:ウルトラチェニール
おすすめカラー:赤、ピンク、ダークブラウン
手順
- フックアイのすぐ後ろに糸を巻き付け、シャンク後端まで下巻きする。
- 長さ5cm(2インチ)のチェニールを切り取り、シャンク後端に6回〜8回巻き付けて固定する。
- 巻く際は一部が重ならないように注意し、均等に配置する。
- チェニールをフックアイ方向へ巻き進め、アイの手前で止める。
- チェニールをシャンクに沿って前方へ持ってきて、前部を固定するために4〜5回巻き付ける。
- 前部のチェニールを持ち上げ、フックアイ直前でハーフヒッチして固定。
- 余分な糸をカットする。
- フライのヘッド部分にヘッドセメントを塗布して仕上げる。
- フライショップまたは透明マニキュアでも代用可能。
- ボドキンを使って塗布するときれいに仕上がる。
仕上がりの確認
完成したワームは、図に示されている形を目安にする。
フックベンド側の尾部が、フックアイ側の頭部よりも長くなるのが正しいバランス。
図解(Step 1〜4)
- Step 1:糸を巻き付ける位置の固定
- Step 2:チェニールを後端に固定
- Step 3:前部にチェニールを固定
- Step 4:ヘッドセメントで仕上げ

バックスキン(BUCKSKIN)
フック:ニンフ #14, #16, #18, #20(1X ロング)
スレッド:6/0 ブラック
ボディ:シャモア革またはバックスキン
手順
- フックアイから糸を巻き始め、余分な糸を切り落としてベンド(曲がり部)まで下巻きする。
- バックスキンの端を斜めにカットし、フックのベンド側に固定する。
- 素材は少し角度をつけて固定し、シャンク後方まで糸を巻き下ろす。
- バックスキンを前方へ巻き上げる際は、素材が重ならないように注意。
- アイ直前まで巻いたら余分をカットする。
- ヘッド部分を形成し、ハーフヒッチで固定。ヘッドセメントを塗布して完成。

ミラクルニンフ(MIRACLE NYMPH)
フック:ニンフ #16, #18, #20(1X ロング)
スレッド:ホワイト(6/0 または 8/0)、ブラック(6/0)
ボディ:ホワイトスレッド
ヘッド:ブラックスレッド
リブ:細いカッパーワイヤー
手順
- フックアイの後ろからホワイトスレッドを巻き始め、ベンドまで下巻きする。
- カッパーワイヤーを固定し、スレッドでテーパー状のボディを形成する。
- ワイヤーを前方に巻き上げ、ハーフヒッチで固定。余分なワイヤーをカットする。
- ワイヤーを巻くことでボディに節(セグメント)の見た目を与える。
- 小さいフックでは約5回転、大きめのフックではそれ以上が目安。
- ブラックスレッドでヘッドを形成し、ハーフヒッチで固定。糸をカットしてヘッドセメントを塗布。

ウーリーバガー(WOOLY BUGGER)
フック:ストリーマー #8 または #10(4X ロング)
スレッド:6/0 ブラック
テール:ブラックマラブー
ボディ:ブラックチェニール
ハックル:ブラックサドルハックル
手順
- フックアイのすぐ後ろから糸を巻き始め、ベンド(曲がり部)まで下巻きする。
- テール用のマラブー羽根を1本用意し、フックベンドの少し手前に固定する。
- テールの長さはフック全長と同じ程度。
- しっかりと8〜9回巻き付けて固定し、余分なマラブーはカット。
- ハックルファイバーを取り、ステム(軸)の柔らかい部分を取り除く。
- テールを固定した位置にハックルを固定する。
- チェニールを固定する。
- チェニールはテールとハックルの間に固定し、ベンド直前まで巻き付ける。
- 糸をフックアイ手前まで戻し、チェニールをシャンク全体に巻き付けていく。
- チェニールが半分まで来たら、余分をカットして処理。
- ハックルを前方に巻き上げ、各巻きの間隔を均等にあける。
- アイ手前で固定し、余分なハックルをカット。
- ヘッドを形成し、ハーフヒッチで固定して糸をカット。
- ヘッドセメントを塗布して完成。
図解(Step 1〜4)
- Step 1:テール(マラブー)を固定
- Step 2:ハックルとチェニールを固定
- Step 3:チェニールを巻き付ける
- Step 4:ハックルを巻き付け、ヘッドを形成

シンプル・ドライフライ(SIMPLE DRY FLY)
フック:スタンダードドライフライ、サイズ #14
スレッド:6/0 ブラック
テール:ムースボディヘア または バックテイルブラックヘア
ボディ:グレーのダビング
ハックル:グリズリー
手順
- フックアイからベンド手前まで糸を巻き下ろす。
- ムースまたはバックテイルの毛を5〜6本取り、テールとして固定する。
- 毛先がフライ後部から均等に出るようにし、テールの長さはフック全長と同じ程度にする。
- 毛の重い根元側をフックアイ方向に向けて取り付ける。
- グレーのダビング材を少量取り、糸にねじりつける。
- ダビングループを使い、フックアイ方向に向けてシャンクの3/4程度までボディを形成する。
- グリズリーハックルを固定し、ウーリーワームと同じ要領で前方に巻き上げる。
- 巻き数は3〜4回、各巻きは隣同士になるようにする。
- 指でハックルを押さえて巻くと、絡まりにくくなる。
- 巻き終わりはアイの手前で固定し、余分をカットする。
- ハーフヒッチで固定し、ヘッドセメントを塗布して完成。
図解(Step 1〜3)
- Step 1:テールを固定
- Step 2:ダビング材でボディを形成
- Step 3:ハックルを巻き付け、ヘッドを仕上げる
